倉庫・運送会社に預けた商品が台風・地震で被害を受けたら|預け先が補償しない理由と、自社で備える保険

「倉庫に預けているから、何かあれば倉庫会社が補償してくれる」。そう考えている会社は少なくありません。

しかし、国土交通省が定める標準の約款では、地震や台風、大雨などの天災による損害について、倉庫会社や運送会社は責任を負わないことになっています。預けた商品が濡れたり壊れたりしても、補償を受けられるのは自社で保険に入っている場合だけ、ということが起こります。

この記事では、その理由と、自社で備える方法を解説します。

要点は3つです。

  • 倉庫会社・運送会社は、天災による損害を原則として補償しない
  • 自社の火災保険は、建物の外(委託倉庫・輸送中)にある商品を補償しないことが多い
  • 倉庫の中・輸送中・店頭まで、商品を切れ目なく補償する保険がある

1. 倉庫会社・運送会社は、天災の損害を補償しない

倉庫の約款

国土交通省の標準倉庫寄託約款では、地震、津波、高潮、大水、暴風雨などによって生じた損害について、倉庫会社は責任を負わないと定めています。また、倉庫会社が賠償するのは、倉庫会社やその使用人の故意または重大な過失による損害に限られ、その事実は預けた側が証明する必要があります。

2026年4月の改正では、サイバー攻撃やパンデミックなどの不可抗力による損害も、免責として明文化されました。

運送会社の約款

標準貨物自動車運送約款でも、地震、津波、高潮、大水、暴風雨、地すべり、山崩れなどの天災による損害は、運送会社の免責事由とされています。

「大きな会社に預けているから安心」ではない

これは倉庫会社や運送会社の規模によりません。標準の約款を使っている限り、天災の損害は預けた側が負担します。

(出典:国土交通省「標準倉庫寄託約款」「標準貨物自動車運送約款」)

2. 自社の火災保険で足りるか

自社の火災保険で商品(在庫)を補償している会社も多いですが、次の点に注意が必要です。

  • 保険の対象は、契約で指定した建物の中の商品に限られることが多く、委託倉庫や輸送中の商品は対象外になりやすい
  • 地震による損害は、火災保険の基本の補償では出ない。地震の補償を付けられても、建物の築年数などで付けられない場合や、限度額が低く抑えられる場合がある
  • 台風や大雨による水濡れ(水災)を外している契約もある

3. 天災のあと、在庫の被害が会社を止める

在庫(商品・製品・原材料)が被害を受けると、売るものがなくなり、売上と入金が途絶えます。一方で、仕入代金や給与、家賃の支払いは続きます。

東京商工リサーチの集計では、東日本大震災に関連する倒産は震災直後だけでなく、1年たっても月50件台の高い水準で続きました。被害を受けたあとの資金繰りが、会社の存続を左右します。

→ 関連記事:BCP(事業継続計画)と保険|事業を止めないための備え

4. 商品を切れ目なく守る保険

商品が「仕入れ → 輸送 → 倉庫での保管 → 加工 → 納品 → 店頭」と動く間を、場所を決めずにまとめて補償する保険があります(国内の物流・貨物を対象とした保険)。

主な特長

  • 委託倉庫など、自社の建物の外にある商品も補償の対象にできる
  • 輸送中の事故も含めて、切れ目なく補償できる
  • 地震による損害を補償の対象に加えられる場合がある(保管場所の建物の築年数に関係なく設計できる場合もある)
  • 預かっている他社の商品(受託品)を対象にできる場合がある

※補償の範囲・条件は保険会社・契約によって異なります。

5. こんな会社は見直しを

  • 委託倉庫や物流センターに在庫を置いている卸売業・製造業
  • 在庫を複数の拠点に分けて置いている会社
  • 本社や倉庫の建物が古く、火災保険で地震の補償を付けられなかった会社
  • 移動販売や、店舗間で商品を運んでいる小売業
  • 川や海の近く、浸水のおそれがある場所に倉庫がある会社

6. よくある質問

Q. 倉庫会社が保険に入っていれば、その保険で補償されませんか?

A. 倉庫会社が入っている保険は、主に倉庫会社自身の賠償責任に備えるものです。天災のように倉庫会社に責任がない損害は、その保険の対象になりません。

Q. 火災保険と、商品を守る保険の両方が必要ですか?

A. 建物や設備は火災保険、動く商品・在庫は商品向けの保険、と分けることで、重なりや漏れを減らせる場合があります。今の契約を拝見して判断します。

Q. 地震の補償は高いのではありませんか?

A. 建物を対象にした地震の補償は高くなりがちですが、商品・在庫だけを対象にすると考え方が変わります。一度、見積で比べることをおすすめします。

7. 当社での考え方

当社は、香川・兵庫の法人のお客様の「どこに、いくらの商品があるか」をうかがい、今の火災保険で守れている部分と守れていない部分を一覧にしてご提案します。まずは今の保険証券をお送りください。




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